行きつけのスーパー

2026年1月10日土曜日

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今日スーパーに行った。

いや多分ほとんどの人は生まれてから一度はスーパーに行ったことがあると思う。スーパーに一度も行ったことがない人を探そうとすることとサッカー選手になる事なら後者の方がまだ難易度が低いかもしれない。


そんなすべての人に向けて寛大にも戸口を開いてくれているスーパーという施設。

家庭を持っている方はあるいはスーパーで買いだめをしたりもするだろうし、一人暮らしの人は反対に食材が余ってももったいないから毎日食べる分だけ買いにスーパーへ行ったりもするだろう。


僕はといえばできるだけ余分な買い物をしたくないので、毎日食べる分だけを仕事終わりに買いにスーパー通いをしている。しかし、それでも前日に買ったニンジンやらチンゲンサイやらが急に傷んで腐ってしまうこともある。

食パンが安いからといって毎日買いすぎてしまい、完全なる黒カビ製造所を作り上げることも多い。食パンと人参のカビの生えやすさに関してはまた別の機会に論じたいくらいにはカビらせている。


そんな僕が毎日スーパーに行くのはもう一つ理由がある。

気になる店員さんがいるとか僕自身がスーパーフェチであるとか、そういうなんだかややこしい話ではなく、ただ単に毎日飲むお酒の量を一定量でキープしておきたいという理由なのだ。


ウィスキーや焼酎、日本酒のビンが家にあると場合によっては普通に飲みすぎてしまうことがある。手に取れる範囲にアルコールがあればどうしても気分によっては飲みすぎてしまう。そうして次の日に後悔する。

なのでそのような過去の後悔、過ちをもう二度と繰り返さないように、どうかこれからは安らかな世界が続くようにと、僕は戦争に反対するのと同じモチベーションの気持ちを掲げ、毎日飲む分のお酒をスーパーに買いに行っている。


こうすれば仮にちょっと飲み足りないなーと思っても家にお酒がないので飲みすぎる心配がない。もちろんコンビニに行けばお酒はいつでも仕入れられるが、そこまでしてお酒を飲みたい衝動に駆られるほどのアル中には幸いなっていない。


そういうわけでほぼ毎日、食パン黒カビ製造所をせっせと増設するため、また、アルコール量をキープするため、近所の行きつけといってもいいスーパーに通っている。

そうすると店員さんからものすごい話しかけられることになる。


スーパーの行きつけってなんかめっちゃカッコ悪けれども仕方がない。実際僕がここ数年で通った店で一番回数が多いのがこのスーパーなのだから。

何なら家で起きて過ごしてる時間よりもこのスーパーで過ごしてる時間の方が長いくらいにはこのスーパーの常連である。


そうして。

僕はスーパーの店員さんに年末年始のご挨拶をされることになるとは夢にも思っていなかった。


でもそれはいい。

普段から顔見知りの、というより友達のいない僕からすればたぶん今、一番仲のいい方々であるのだから。

こちらとしても単純にありがたいし嬉しい。一人暮らしだと感じづらいお正月感を僕に与えてくれる。ああ、スーパーに通っていたらこんな僥倖もあるのだな、と思わずにいられない。


で、今日、普段はいかない時間帯であるお昼にスーパーに行った。

そうなのである。冒頭で書いたスーパーに行った。は僕の中ではとびきり特別な、仕事終わりではない、お昼のスーパー探訪なのである。

ワクワクもするしドキドキもする。服はこれでいいのかな、スーツの方が…?ドレスコードを気にしてしまう。長めの入浴を済ませ、髭をそり、いつもより少しだけ入念に歯を磨く。


そしていざ足を踏み入れる。

左足から。


そう僕は大事な場面では左足から一歩を踏み出すことに決めているのだ。大事なジンクス、整えた身だしなみ。すべてがベストパフォーマンス。これからスーパーに挑もうというに申し分ない。


左足がスーパーの敷地内に着地した瞬間。

ああ、お昼のスーパーはこんな感じなのだな!という新鮮な空気が僕の肌、嗅覚を存分に刺激してくる。


夜にはお目にかからない、小さな子供を連れた親子、そしておじいさん、おばあさんといった方々。スーパーとはこれほどまでかと驚嘆する。時間帯によってこれほど多様な一面を見せてくれるのか、と。一人息を巻く。


そうして。

そんないつもとは違う、特別なスーパーの空気感をぞんぶんに堪能し、やはりそこはスーパーなのだからお目当ての食材を買う。

何も買わないのにスーパーに行くとは何事だろうと僕は憤慨する。そんな、まさかそんな無礼が許されるべくもない。スーパー様に来店したのであればもちろん何かしらの売買契約は締結しないといけない。


そうしていつもより多めに、なんかいらない缶詰なんかもかごに入れ、いざレジに進んでいく。


もちろん普段仕事終わりに来るスーパーの店員さんはいない。

ちょっとだけいつもの店員さんはいないのかな、と探してしまった僕もいた。そうして気づく、なんと失礼な行いをしてしまったのかと。

そんな風にきょろきょろしていい場所ではない。スーパーは。

しかしながら「え、餃子と食パンってどうやって食べるんですか?」「食パンで餃子をサンドするんです」などといった他愛のない会話も僕がスーパーで感じることの出来ていた癒しであったのだ。


そうして改めて気を引き締め、カートをレジに載せ、ポイントカードの準備をする。


……



「今日、早いんですね♪」


急に話しかけられる。


ふと、財布から視線を上げてみると見たことがない店員さんだった。


ものすごく挙動不審になる僕。さっきまでベストなパフォーマンスでベストな買い物をしてベストなお会計を済ませている途中という意識が完全に吹っ飛ぶ。

たぶんきっと、僕の口はわなわなと震え、財布を持つ手はなんとか財布を支えようと必死だったに違いない。自らの体面に意識を向けられるほどの余裕がなかったのでうまく思い出すことすらできない。


けれども冷静になってみれば、確かにいつかどこかで見かけたことがあるような気もする。


……



そうか、僕は毎日このスーパーに来ているせいでたぶん「あ、またあの食パンとお酒ばっか買う人来た!」って店員さんの間で言われてるのだろう。


もしかするとスーパー内では食パン星人とか、食パン腐らせ野郎とか呼ばれてるのかもしれない。それから人参買いすぎ野郎とか、毎日アル中野郎とか、食パン餃子サンド変態とか。

でも、もしかするとそれはきゅうり大好き星人かもしれないし、トマト全然食わない星人かもしれない。そうしてもしかするとスガキヤラーメン大好き星人かもしれないし、鯖缶大好きくず野郎かもしれない。


…んで長々と書いてあれだけどなんか最近文章がパッとしないんだよなー。老化かもしれない。

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