ゆるキャン△の1期と2期、友人にはゆるキャン△経由でソロキャンを始めた人もいて、それこそ芸人のヒロシがソロキャンで流行語大賞を受賞した時、いやお前じゃねーだろ、と思ったくらいにはオレ自身もゆるキャン△を楽しんでいた。
で、今期放送されていたゆるキャン△3期。そもそもゆるキャン△でいうと映画のゆるキャン△も好みではなかったので3期もすこし不安だったけれど、その不安が当たってしまった。
ここではゆるキャン△3期がなぜ失敗したのかについて書きたい。
会社が変わったとか言われてるけれど
ゆるキャン△3期が失敗した理由として、制作会社が変わったから、とか背景がとレース背景っぽくて違和感すごい、とかキャラの顔が変わってしまった、とかがある。
でもこういうのは本当に枝葉の部分で、本当の爆死理由は別にあると思う。というかその根本があるからそういった枝葉の部分の違和感に目をつぶれなくなってしまった、という事だと思う。
あらかじめ断っておくと僕はゆるキャン△の原作を読んだことがないので、もしかするとそもそも3期の内容は原作でも面白くない部分なのかもしれない。もしそうならこの内容はすべて忘れてください。
で、断りを入れてからだけど、このゆるキャン△3期のもっともダメな部分を一言で表すと、キャンプにおける刹那感を全く描写できていない、という事だと思う。
1期2期はキャンプのシーンで、夜の静けさ、朝の太陽のあったかさ、そういったものを見事に描いていた。時間の経過といってもいい。
それは実際にキャンプをしたことのある人ならいっそう色濃く感じられたことと思う。
日が沈み、焚火の火だけになっていって、ご飯を作り、そうして煙だけになって暗闇に包まれて、テントの中でランタンをつけるけど虫がたくさん寄ってきて、でもそれはそれでいいとか思ったりして。
そしてスマホをある程度いじったらやることなくて寝て。
朝、ものすごい床冷えしてて、霜の水気がすごくてなんか服が濡れてる感じで、低血圧で起きて。でテントのジッパーをじじーっと開けると太陽があったかくて、とにかくすごくて。
でも寒いからコーヒー湧かして飲むとなんかうまい、みたいな。ついでにソーセージ焼いてポリポリ食べたらまたウマい、みたいな。ソーセージとコーヒーって合うんか、みたいな。
そういうキャンプ自体の喜びの描写。
ゆるキャン△2期で寒すぎてやばい、みたいな回あるけど、確かにキャンプとか野宿してるとそういうシーンって結構ある。んじゃどうするかっていうと夜の間ずーっと早歩きしてたらいい。
ならとりあえず死なない。オレはそうしてた。
んで朝になってあったかくなってから寝てた。
ただ、これはキャンプじゃなくて野宿旅の時だったから次の目的地まで夜の間歩けばいいか、ができただけでキャンプで8時間以上歩き続けるのはむずいとは思う。
そういうキャンプの生感。
この3期は全くそれがない。
ただ旅してるだけ。
もっとわかりやすくいうとキャンプに対するリスペクトが3期にはない。
なんていうんだろう、偉大な自然の中で一時だけ過ごさせてもらってる、みたいな意識が3期にはない。キャンプしてると自然とそういう意識が出てくると思うんだけどな。それだけ畏怖の存在なんだよな、自然って。そういう切り取りがない。オレが生まれる何年も前からこの景色で、オレが死んで何年も先までこの景色なんだなって思う。
オレがこの木を仮に切り倒したところで、この景色はずーっと続くんだろうって。この変わらない山を見ながら江戸時代の人も、鎌倉時代の人も、縄文時代の人も同じようなことを思ったんだろうなって。
自分を一匹の猿と感じちゃうような感じというか。なんかそういう。
というか別の観点になるけれど、この日本、常に死を意識しないでいる日常から、もしかすると死、ていう位置に自分をわざわざ置きにいくのがキャンプだと思うし、そういう、それこそ刹那感がないならもうキャンプアニメじゃないというか。
キャンプや野宿旅をしたことがない人が作ってるんじゃないかな。
もともと個人的にゆるキャン△のキャラのやり取りは寒すぎてちょっと見れない部分が多く、特にLINEのやり取りの部分は見ていられなかった。テンション低いし、他人行儀だし仲良くない間柄のLINE感がすごくて嫌いだった。
3期はそういう見ていられない部分のみを増長して、逆にキャンプのキャンプらしさ、野宿の野宿らしさを取っ払ってしまっている。
人によってはキャラのやり取りを楽しみたい人もいると思うので賛否両論かもしれないけれど、オレはゆるキャン△のキャンプのキャンプらしさの描写が好きだったので、3期は違和感があった。
結局、ゆるキャン△の”ゆる”の部分を楽しみたいのか、”キャン”の部分を楽しみたいのかで評価が分かれると思う。
で、たぶんゆるキャン△が他のゆる系アニメと差別化できていたのが”キャン”の部分であったからこそ、キャンプ成分の抜けた3期は失敗したんだろうと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿