朝井リョウさんの「死にがいを求めて生きているの」の感想と評価を。
この小説も螺旋プロジェクトっていう、いろんな作家さんがリレー形式で古代から未来までを舞台に「人の対立」を描いた中の1作。てことで、今まで朝井リョウさんの本読んだことなかったし、どんな人なのかも知らなかったんだけど読んでみた。
年齢が近いからか面白かった
ほんと、この螺旋プロジェクトで朝井リョウっていう名前を知るまで、その存在すらマジで失礼なんだけど知らなかった。
なんでも調べてみると、「桐島部活やめるってよ」っていう映画のやつの人らしい。ふーん。いうて「桐島部活やめるってよ」も見たことないしなぁ…。これをぱろった言い回しを時々居酒屋で聞くくらいだよなー。
そのほか朝井さんについてわかったのは年齢が近かったことくらいかなー。いまだに男性なのか女性なのかすらわかってない。多分男かなー。わかんない。
んでこの「死にがいを求めて生きているの」。
初めて朝井さんの本読んだけど面白かった。
あらすじとしては、ほかの螺旋プロジェクトと同じで、海族と山族っていう日本で古くから争いを繰り返してきていた、めちゃわかりやすい身体的特徴を持つ、二つの種族の対立をえがいてて、今回は、海族の智也君と山族の雄介君が小学校から大学にいたるまでのお話になってる。
最初、智也がある事故で植物状態になって入院してるところから話が始まり、そこから過去の小学生時代とか中学生時代とかの話が始まる、みたいな。
物語の伝えたいことというか、そういう国語の試験的な話だと、人は生きている限り人との対立を避けられない。
っていうのをいろんな人の心情で語ったやつになってる。
人と比べること、人に承認してもらう事でしか自らの存在意義を測れない人はもちろん、ただ生きているだけでいいと考えている人も、そんな人間社会に嫌気がさし他とは違う生き方を選ぶ人も、結局は自分の位置を探すために人と比べるしかない。目標を定めることも結局は人との競争の中に答えがあり、何をどうしたって人は人と比べる。
だから逃げるな。生きてるということは対立するということ。それから逃げるな。逃げられる人間なんて生きている限りいないんだから。
みたいな。
そういう本。
何がいいって本の最後に上で書いたような国語の試験で問われる「作者の気持ち」的なものがそのままシンプルに書かれてるところ。読んでて楽な小説だなー。逆に、作者の気持ち、作品のテーマが最後にそのまま独白されてるから国語のテストでは出せないだろう。
あと、文体で面白いなーと思ったのが、進撃の巨人でライナーが自分が巨人だと告白するシーンみたいな感じで、会話してる部分と地の文が全く違うシーンを書いてるっていうテクニックが随所にあって、それがおもろかった。
会話はそれこそ海族の智也君と山族の雄介君の会話なんだけど、その間に挟まれる地の文はぜんぜん違う人の行動なり心情を書いてる、みたいな。
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