星野智幸さんの「焔」の感想と評価を。
面白くなかった
ここ2か月でたぶん30冊以上は本読んでると思うけど、ワースト2位くらいのレベルで面白くなかった。
読み終わってからしったけど、この星野さんの「焔」、なんか谷崎潤一郎賞ていう賞を受賞してるらしい。文学界の賞にまったく詳しくないんでどういう賞なのかわからないけど、こんな面白くないのに受賞なのかぁ、と思わずにいられなかった。
星野さんの本をこれまで3冊ほど読んでだけど、大きく分けて3つの書き方しかない人なんだなーと思ってる。
- 植物とか土とかと一体になっていく、幻想的でちょうどいい塩梅で気持ち悪さというか人間っぽさ(たとえば糞とか体液とか)のある文体
- サッカーとか相撲とかが出てくる文中に「てめぇ」が散見される荒い文体
- 急に何年もの時間が経過する畳みかけた文体(例:ピンクのラスト付近のようなやつ)
で、好みがわかれるところだろうけど、俺は地の文に「てめぇ」とか「ゲーセン」とか「チャリ」とか使う文体が嫌い。口語の部分ならそういう性格のキャラがしゃべってるんだなーでいいけど、地の文でこういう言葉使われるとなえる。こういった単語が出てきた回数ごとにその本の評価が下がっていくまである。
なので星野さんがサッカーとか相撲とか書きだしたら、けっこう流して読むようにしてる。
①と③が星野さんの文体では好きなんだけど、それもそればっかりだと食傷気味になるし、なんだろう、ものすごいわがままだな、俺。
で、そういう文体の書き方のレパートリーのほかに、そもそもこの焔という作品の各短編が全然面白くない。
何が言いたいのかよくわからない短編が、その読後感にかなわない分量の文章で描かれてるから読むのがしんどい。
ようこんななにもないことをこの分量の文章で書いたな、と逆に感心する。3行くらいで頼むわ、と言いたくなる。
「てめぇ」とか使う文体ならもっとラフに書いてよ、と思う。文体と内容と分量と、全部が全部ちぐはぐ。
どうせこの短編読んでもなんも読後感ないんだろうな、と思って各短編を疲弊しながら読んでいくことになる。楽しさの供給が一切ない。ただ疲れるだけ。
短編だからこの後どうなるの?がないし、それなら各短編で大きな世界の構造がわかるようにするとか、少しずつ何か謎がわかっていくようにしたり、それか一話一話にちゃんとした読後感があったり、そういうのがないと読んでいてものすごいしんどい。
だからなんなの、という短編が9つただ適当に並んでるだけに感じてしまった。
文体も「てめぇ」だし、読んでも何も得られないし、何のためにこの本を読んだんだろう、と後悔した。時間が無駄だった。
人によってはもっと感慨深い感想を得られるのかもしれないけど、俺は無理だった。
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