大森兄弟「ウナノハテノガタ」の感想と評価

2024年6月20日木曜日

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最近読み進めてるらせんプロジェクトのうちの1冊、なんと兄弟2人で小説を書いてるという変則作家さんである大森兄弟の「ウナノハテノガタ」の感想と評価を。


面白かった

螺旋プロジェクトは日本を舞台に古代から未来まで続く、海族と山族という二つの民族の争いを異なる作家がリレー形式で書いていくという企画。

この大森兄弟さんの「ウナノハテノガタ」は縄文時代くらいの時代感。


それこそ海族が平和に暮らしてたところに、地震で住む場所のなくなった山族がやってくるところから始まる。


独特の価値観で、例えば海族は人は死なないと考えていて、動かなくなった人は沖にある小島に運んでいけば傷が癒え、元気になって、魚に生まれ変わって未来永劫その小島で幸せに生きられる、と考えられてる。

山族は海族と違って「死」という概念はあるけれど、反対にいけにえの習わしがある。

雨が降らなかったり降りすぎたり、何かしらの災いがあれば、いけにえを火あぶりにして神に乞うみたいなのをやってる。


なんていうかそういう人間の起こり、みたいなのが雰囲気として感じられる不思議な本だった。

雰囲気づくりのためか、海や太陽、まぶたといった言葉が別のカタカナとして書かれてたりしてて最初読みづらい感じもあるけど、それはそれで原始時代感がほんとに感じられて個人的にはよかった。


お話としては、「死」という概念のない海族の少年オトガイが「あれ?人間って動かなくなったら、もしかしてだけど死ぬんじゃね?んじゃなんでこんなにも自分たちの事を大切にしてないんだろう。やべ、怖くなってきた」って悩み、山族でいけにえに選ばれてしまった妊婦の女の人マダラコは「死ぬのは嫌だ、絶対にこの子を産みたい。でもこれまで幾度となくいけにえになる人は見てきたけど、私はそのたびに他人事だった」みたいに考える。

で、最後の所ちょっとわかんなかったけど、津波が来るみたいな感じで、しょうがないから一念発起して違う安住の地目指してタビに出る、っていうストーリー。


よくわからなかったのが、津波が来るのを予言したのが、この螺旋プロジェクト上、重要な役割である程度何が起こるかを知っている長老ウェレカセリではなく、ただの海族の少年であるオトガイだ、という所。


本の最後の方にさらっと、マダラコがオトガイに予言の続きはお前が書けばいいんじゃね?的なこと言って、それをそのまま海族全体に伝えて、結果タビに出ることになっちゃってるというか。

でも津波っぽいのが来てるのは事実だし、なんでオトガイにそれが分かったのかなぁ、てのは謎だった。


ただまー、細かい事だからどうでもいっか。

カタコトの感じとか独特の単語とか、クロノトリガーのエイラとかFF6のガウ?とかみたいで本全体が可愛い感じでよかった。


2人で小説を書くという形態

それよりも、大森兄弟さんの2人で小説を書くというスタンスの方が気になって仕方がない。

一行ずつ交代で書いていって「えー、あんちゃん、こんなカオスな展開ずっこいよぉ~!」「へへへっ、いいだろ~!お前ならここからどうする!?さあ弟よ!お前の実力を見せてくれ!」みたいな和気あいあいとした製作風景なのかな。


多分違うよな。

プロっと作る部分を二人でやって、書くのはどっちか一人なんだろうなー。二人で小説書いてるって、編集の人もどっちに何言っていいのかわからなくてしんどいだろうしなー。


んで、なんとなくだけど大森兄弟って聞いて、二人で書いてるなんて仲いいんだなー、20代くらいかなーと思うじゃん。というか僕は勝手ながら若い人達なんだろうなと思ってた。

んじゃ1977年生まれ。

普通に40台。というかもうすぐ50歳。

仲良すぎん?


ざたっちやぴーことおすぎでももうちょい仲悪いだろう。知らんけど。


どんな釜の飯を幼少期食ったらそんな仲いい兄弟に育つんだ。

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