遮光(中村文則)の感想

2022年12月21日水曜日

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いや、ガチの天才だった。中村文則さん。

一冊目に読んだ「去年の冬、きみと別れ」も超面白かったし、この二冊目に読んだ「遮光」もアホみたいに面白かった。


なかなか2冊続いて面白いってないのに、本当にすごい作家さんなんだなーと、さっきからずーっとテンション上がりっぱなし。

ただ、最初に書いておくと中村さんはあとがき書きたい派の人なのかな、こういう小説のあとがきってない方が余韻があって好きなんだけど、その部分だけは気になった。

まー、こっちサイドがあとがきあったとしても読まなければいいだけなんだけど、これだけいい作品なんだからあとがきまで残さず食べつくしたくなるのが読者真理というもので、結局あとがき読んじゃうんだよなー。


んじゃ中村文則さんの遮光の感想を。さあいこう。


遮光(中村文則)の感想

あらすじはというと、恋人を失った「私」はいつも奇妙な瓶を持ち歩いていた。また恋人がなくなったことを周囲の人には隠し、生きていると嘘をついて過ごしていた。そんな「私」をめぐる物語、となっている。


純愛が~とか、虚言癖の人の心理が~とか、それから人の闇の部分がどうの~とか、いろいろ感想あるだろうなーって思うけど、これはもうイメージビデオだと思う。それくらい雰囲気を楽しむべき本というか。


純愛がどうだろうが虚言癖の心理とか、闇とか、病みとか、そういうんじゃない。ノリ。もう全部ノリ。中村さんの書くその躍るような文章にのめり込んで、ゾクゾクして、でも文を追う目を離せなくて、そうしてこの世界にインしていく没入感を楽しむために読む本。

文の内容なんてなんでもいい、ただこの人の書いたこの速度を有した文がまだ先へ先へと延びているのなら喜んでそれを目で追いかけたい、っていう感覚で読む本。


理屈じゃない、伝えたい事じゃない、感性で感じろ、みたいな本。


だから読後感が素晴らしくいい。

ジェットコースター乗った後みたいな気持ちよさがある。これだけ陰鬱とした内容なのに、めちゃくちゃ清々しい。


1冊目に読んだ「去年の冬、きみと別れ」も(ちなみに出版順序としては「去年の冬、きみと別れ」の方がずいぶん後続で、この「遮光」は中村さんの2作目の小説)そうだけど、なぜここまでどこか精神を壊してしまった人を魅力的に描けるのかが不思議で仕方ない。完全にサイコパスに書くことは比較的やりやすいと思うけど、中村さんの本に出てくるキャラクターはそうじゃない。

どの人の壊れ方にも共感できるところがあって、壊れていると正常の間を行き来してるというか。


その部分がさらにゾクゾクさせてくるというか。

そしてそのゾクゾクを何倍にも加速度的に増やしてくれる、中村さんの文体が本当に素晴らしい。荒々しかったりそうでなかったり。畳みかけたりそうでなかったり。

文体でジェットコースターを操っているのがすごい。


遮光のラストなんて、もうどこまでこの急降下は続くの、ってくらいグワァーとどこまでもどこまでも速度は増していき、読んでいるこちらの目も文を追いかけるのが速くなって。速くなって。まばたきしてないんじゃないかなってくらい次の文が欲しくなって。


そして、ふっと。


空中に投げ出されたようにそれは終わって。無重力になって。白の空間になって。


気づけば読了している。

そんな本。


まとめ

いやー、本当に天才。

こんな人がいたなんて、っていうか本けっこう読んでるつもりだったけど全然知らなかったのが恥ずかしい。めっちゃ有名な人なのに。


あと、たぶん小説てだけで食わず嫌いしてる人って多いと思う。読むのめんどいというか。

でもたぶんそれは、面白くない本しか読んだことないからだと思う。学校の読書感想文とか、あんなん本嫌いになるよなーと思う。

でも考えようによってはすごい幸運。


だって、ゲームするしアニメ見るしドラマ見るし映画見る、漫画読むでしょ。

本ってさ、オレも最初同じだったけど、なんかこう読まなきゃいけない、みたいな、たぶん国語の授業で培った強迫観念が強くあって、読むことにそれなりの儀式というか、気概が必要に感じちゃう。そういう意味でも国語の授業なんてまじで無くせばいいと思ってる。

結果的に気軽に本読めなくなってるんだから。そりゃそうだよな。気軽に数式解きたいかっていわれたら絶対ノーだし。その次元に本を押し上げてしまってる。


でも本当はマンガと全く同じ。

なんなら国語の授業でマンガも取りあげろよと思う。自分がおもんないって思ったらおもんないでいいし、読んでみてすぐあれ違うな、って思ったらその本捨てていい。

それくらいに気軽に消費できるもの、って思ってほしい。もったいないから。


ただまー、確かにオレも学生時代、テレビがあれば本なんて読んでなかったと思うし、さらに言うと今はネット環境あれば動画見放題だもんな。本読もうなんて、なかなかならないよなーとは思う。もっと手軽な娯楽に溢れてるもんな。


てことで。というかだからこそ。

いろんなメディアと同じだけ、いやたぶん何倍かの分量のある「本」っていう面白いのがまだ手つかずなんだから。

てことでね、いっぺんだけ!ね、いっぺんだけ読んでみて!


動画なんかに時間使うのホントもったいないくらい、そこにはアホほど面白いものがあるはずだから。同列なんだよ、本も、動画も、ドラマも、映画も、アニメも、ゲームもマンガもね。

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