中村文則「その先の道に消える」感想

2024年4月23日火曜日

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ほぼ官能小説。

官能小説を読んだことないから本物の官能小説はもっと官能的なのかもしれないけど、とにかくエロばっかりなのがこの「その先の道に消える」という作品。

そもそも中村さんの小説で性描写のない本がほぼないと思うんでそれはもう慣れてるんだけど、この「その先の道に消える」は中でもエロが多い。

村上春樹くらいエロばっか。


ここでは中村文則さんの書いた「その先の道に消える」の感想を書きたい。


万人向けじゃない

うーん、なんで小説家ってセックス描写をしたがるんだろう。不思議。今回は本の感想というより小説のセックス描写について書くことになる。


基本的に意味のないセックス描写をする本が嫌いで、だから村上春樹嫌いってのもある。

ただ中村さんの本はセックス描写がそれなりに物語上意味のあるものだから全然読める。意味のある、っていうとまた違うのかもなー。


なんていうんだろう、村上春樹のセックス描写、というかあのおじさんがセックスという行為に対して感じてるのって「すっごく素敵な行為でしょ!それにおしゃれだし」みたいなのだと思う。

だからすごい気持ち悪く感じてしまう。おっさんがセックスに何夢見てんだろう、って。動物でもするような下劣な行為(下劣というのとは違うな、生物として必要な、いうなら食事と変わらない行為)だと思うし、それを魂の浄化とかと何かの昇華と結びつけてるのが滑稽で、こんなん思ってるおっさんが世にいると思うと、世も末だなと感じてしまう。

まだパチスロに毎日通って、勝てばその金で風俗行ってるおっさんの方が現実見てる分マシに感じる。


とにかく村上春樹は人間、そして自分をオシャレと思ってるんだろうなー。あのにじみ出るナルシスト感はそうとしか考えられない。

中村さんのセックス描写はそれ自体が獣の延長上で、怠惰の中にあるもので、そういう泥臭い切り取り方で描かれてるからまだ読める。

カッコつけてない。


カッコつけてセックス語るおっさんが上司だったらすごい気持ち悪くない?それなんだよなー、村上春樹の気持ち悪さ。イケメンだったらまだわかるよ。沢村一樹みたいな。

あの顔でその思想を、堂々と本にして出版してるのが気持ち悪すぎて…。カフカの海辺?だっけ。アレ以降マジで気持ち悪いしかない。村上春樹は。


人間を上位存在としてとらえてるかどうかなんだろうなー。

村上春樹は、人間って、少なくともオレはオシャレでイケてる人間!ってナルシストで書いてるけど、中村さんは人間なんて所詮土塊と同じ。いつか死ぬし、ただ服を着て何かをしょうもなく考えるようになった猿と変わらない、みたいなとらえ方をしてるはず。


セックス描写もそれを表すために描かれてるというか。

結局人間って動物なんだよねー、みたいな。落ちるところまで落ちたらいいんじゃね?だって一個人なんてほんとどうでもいいどこにでもいる動物なんだから。みたいな。


そういうドライな感じが中村さんのいい所。…ただセックス描写をこんだけたくさんする必要あるのか、とは正直思う。

安易な描写に逃げてない?って感じてしまう。

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