中村文則著「王国」感想

2024年4月7日日曜日

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中村文則さんの「王国」て小説おもろかった。


ここでは中村文則さんの王国の感想を書く。


中村文則著「王国」

中村さんの小説、大好きだからそれなりに高い頻度で読んでる。中村さん⇒違う人⇒中村さん、みたいな中二日?的な読み方をしてる。

で、中村さんの小説のいい所は、その、すごいいいづらいというか、中村さんの小説が好き!と公言することでその人の性癖があらわになってしまうというか、そんなわけですごいいいづらいんだけど、中村さんはものすごいSについての造詣が深い。

なぜ人は人をいじめたくなるのか、反対になぜ人は人にいじめたがられているのか、それがものすごい赤裸々につづられてる。

だから中村さんの小説が好き!って言っちゃうと「え、お前こんなやばい思想持ってんの?」って思われかねない危うさがある。


人をいじめるってことは、その人の置かれた境遇に共感して、それでもさらにいじめるのが至高、というのがこの王国でも描かれているけれど、本当にその通りだと思う。


そのいじめてる人の置かれた境遇って言ってるけど、その境遇に置いたのはSの人自身で、でも同時にそのいじめてる対象に対して「ああなんてかわいそうなんだ」と共感もしてる。自分がやった結果起こったことなのにそれを本当に気の毒に感じてもいる。

そしてそれでもまだいじめたい。


その共感、と破滅観、それこそがSの根幹といってもいいと思う。


いじめてる人と同化し、自身が自分の身をもっては体験できない、というか体験したくない哀れさを心から感じ、でもそれを外部から俯瞰で見ている、見れているという優越感、それがSの根本だと思う。


普通こんなにSの人の心理構造を描かないと思う。

んでそれが世界全部のSに共通してるのかもわからない。ただオレが人をいじめる時の根本が中村さんの考えと同じだったから、だからこの人の小説が好きなんだと思う。


また同時に多くの小説家はここまでじぶんの性癖を表に出さないと思う。

例えば昨日読んだ伊坂幸太郎やオレの嫌いな村上春樹とかは、どちらもすかした物語なり文体なりで自分の性癖を隠して本を書いてる…と思う。

伊坂さんはとにかく物語の構成がナルシストで、村上春樹はラノベ的なすかし感がある。


なんていうか、中村さんの小説は本当に魂で書いてるって感じがして、だから好き。カッコつけたりオシャレに仕上げたり、そういうのをあんまり考えてない感じがする。


…ただ公園で花見しながら読むのなら伊坂幸太郎や東野圭吾の方が適しているとは感じた。

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